腹黒エリートが甘くてズルいんです
そのデカ目アイコンの『さゆさゆ姫』からある日突然メッセージが入り、どうやら昔の知人であるサユミがデキ婚をすると知った(て言うかうっかり昔の知人とか言っちゃったけど)。


巻物を読み解くようにスクロール必須の長文メッセージは、要約すると実にシンプルで。

『呼ぶ友達の頭数が旦那側と合わないので、そんな仲じゃないのは分かっているけど結婚式に出てくれ』

と、言っているように聞こえた。
サユミがどんな十数年を送ってきたのかは知らないけれど、ひと昔前に同じコンビニでバイトをしていただけの繋がりのあたしに声を掛けなくてはいけないという、それが中々の緊急事態であるということだけは分かった。

変に良い人ぶりたくないので、正直に言ってしまうと。

だからといって、出席するつもりなんてなかった。
会えないとはいえ、連絡を取り合っていたとか、共通の友達が沢山いて、皆で同窓会がてら集まろう、なら分かる。

あたしとサユミの共通点はバイト先のみ。

しかも、当時サユミは高校生で、あたしは大学生。その頃から特別気があって仲良くしていたなんて思い出は皆無。
シフトだって、いつも一緒だったわけではないし。
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