腹黒エリートが甘くてズルいんです
「いや、営業も間に合ってるんですぐにお返ししまーす!」


先輩の声と皆の笑い声を背中に聞きながら、押されるように歩き出すあたし。


なんで倉庫? いや、相談ならここですればよくない? て言うかだから、先輩に相談され、しかもあたしがなにがしかの答えを出せるようなジャンルなんて何一つ見当たらない。


総務部のフロアを出ると、後ろのポジションから横並びに移り、そして一歩前を黙々と歩き出す先輩。


おーい、さっきまでのテンション、どうしましたー??


倉庫に、と言っていたけど、案内されたのは会議室。

陽当たりがよく、埃の匂いがする。


「ちょっと、いいからちょっと入って、莉緒っち」


いつになく真剣な表情の先輩。
あれ?まさか……

あたし知ってる、このシチュエーション。

オフィスの、人気のない会議室で向かい合う男女と言えば……。


しかも、いつもと、様子の違う先輩。どことなく緊張しているみたいだし。


まさか……まさか。
あたし、今から告白されちゃうとか?!
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