腹黒エリートが甘くてズルいんです
運命の飲み会?
*****


『帰りたい……』


あたしは、この間の地元での結婚式の時と同じくらいの疎外感を噛み締めながら、喉の奥で呟いた。


いや、寧ろ、帰ってしまった方が、あたしを含め全員の為である気がしてくる。



……よし、帰るか。
そっとクラッチバック(どうせ流行りものは寿命短いから、と適当に買ったノーブランドものが意外と気に入って使いまくっている代物)を持ち、腰を浮かせる。


ここで、イケメンにどこ行くの? なんて聞かれたらまた違うのかもしれないけれど、(そもそも残念な事に、イケメンはいなかったけど)勿論そんなはずもなく、一人無事に個室から出て来れてしまうという。


出口まで続く長い廊下で、はぁあ、と何とも言えないため息をつき、短時間でのしかかったストレスを解放したく、大きく伸びをする。


あたしは今、飲み会に参加中だ。
いや、正確には今抜け出したのだから、『参加していた』という過去形でいいのかもしれない。
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