腹黒エリートが甘くてズルいんです
あ、なるほど。誰がお相手でも良かった的なやつ?
でもいい、なんでもいい。何だか知らないけど、凄い嬉しい!!

何て答えよう、とまごつくあたしの手を取り、酒井君が強く引く。


勢いよくそのまま外に出ると、頬に感じる夜風が、嘘みたいに気持ちいい。
外は、こんなに気持ち良かったんだ。て言うか……。


そりゃあ、中学生じゃないけれど。今年35歳になっちゃうオバチャンだけど。
右手に全神経が集中してしまう。

酒井君と手を繋いで歩いている。


それだけで、嘘みたいだし夢みたいだし、お酒なんてとっくに抜けているのに足元ふらっふら。

なんだろう。


「……な?」


不意に聞こえた酒井君の言葉に慌てて返す。


「ん? あ、ごめん、なに?」


その顔が余程バカみたいだったのか、少しの沈黙の後、酒井君が爆笑する。


「あはははははは、もう、止めてよ仲田。お前ぜんっぜん変わって無いのな」


「……へ?」


あなたと手を繋いでいることが恥ずかしくて意識飛びかけてますなんて、言えないし。
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