腹黒エリートが甘くてズルいんです
「連絡先、教えて。この前、仕事で松井にも会ったんだよ、今度皆で飲めたら楽しくねぇ?」
同じ塾だった男子の名前を出しながら、スマホをいじる酒井君。
「えーとー、登録……あ。お前、今、何さん?」
あ。
やめてもらえる? その、結婚してるのが前提みたいな聞きっぷり……と憤る反面、誰かに選ばれているようにも見えたのかな? という謎の安心感。
まぁ、年齢的にも結婚している方が自然だから言われたんだろうけど。
「……仲田さん」
ぼそ、と呟くあたしの声が拾えなかったのか、酒井君が顔を近づける。
「ん?」
「仲田莉緒、34歳独身です」
おふざけテイストで言ってみる。
何このプライドの高さ。
「……あ、まじで?」
思ったほどのリアクションもなく、ほっとする。そうだよね、異常じゃないよね、あたし。
「んーじゃ、仲田、莉緒……っと」
素早く指を動かしながら酒井君が言う。
「あれか。色々辛いことあったんか。おじさんが聞いてやる。近々飲もう」
……ん?
「いや、出戻りとかじゃないけど」
同じ塾だった男子の名前を出しながら、スマホをいじる酒井君。
「えーとー、登録……あ。お前、今、何さん?」
あ。
やめてもらえる? その、結婚してるのが前提みたいな聞きっぷり……と憤る反面、誰かに選ばれているようにも見えたのかな? という謎の安心感。
まぁ、年齢的にも結婚している方が自然だから言われたんだろうけど。
「……仲田さん」
ぼそ、と呟くあたしの声が拾えなかったのか、酒井君が顔を近づける。
「ん?」
「仲田莉緒、34歳独身です」
おふざけテイストで言ってみる。
何このプライドの高さ。
「……あ、まじで?」
思ったほどのリアクションもなく、ほっとする。そうだよね、異常じゃないよね、あたし。
「んーじゃ、仲田、莉緒……っと」
素早く指を動かしながら酒井君が言う。
「あれか。色々辛いことあったんか。おじさんが聞いてやる。近々飲もう」
……ん?
「いや、出戻りとかじゃないけど」