腹黒エリートが甘くてズルいんです
「お前さ、このままで良いわけ?」


……と、申しますと?? と、あたしの頭の中はクエスチョンマークがいっぱい。


「……な、にが?」


辛うじて答えるけれど、あたしの神経は酒井君の手が触れている左肩に一点集中。


「このまま、『もう歳だからぁー』みたいな下らねぇ言い訳して、いろんなことから逃げるわけ?」


???

いや、そうだけど。
あたし、そこまでの事、言ったっけ? それとも、そんな深層心理はお見通しってこと? だとしたらそれはそれで怖いんだけど!

駄目だ、クエスチョンマークが増える一方。


「いやー、今日のも、正確には合コンじゃないし。松永物産と、合同の単なる飲み会だし、そこで露出激しい服で女子最年長がノリノリで乾杯! とか頭おかしいでしょ?」


この通勤服について突っ込まれているのなら誤解を解いておきたい。あたしだって、狙った人がいる飲み会とかならもう少しメイクも服装も頑張るし。


そんなあたしの思いが伝わったのか、肩に触れた手が離れる。


「……お前、もしかして、マツヤで働いてんの?」
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