腹黒エリートが甘くてズルいんです
あ、なんだそういうことね……と拍子抜けしながら思う。
そりゃそうだよね。
何を考えているんだ、あたしは。
「えーと、ありがと、う?」
何と言って返すのがいいのか分からず、とりあえずお礼を言ってみる。
「いいってことよ。俺に任せとけ! えーと、もうすぐ7月だろ、てことは、1、2……うーん、3月までにとなると、とっとと動かなきゃだな……」
指折り数えながらぶつぶつ言っている。そうだね、時間がないことは百も承知。
「ねぇ、松永物産なんて、めちゃくちゃ忙しいよね? あたしの色恋なんて構ってる暇ないでしょ? それこそ、奥さんとかご家族に時間を使った方が……」
「ん」
あたしの言葉を遮るように小さく言って、また酒井君が左手を見せつけるように前にぐっと出してくる。芸能人の結婚報告会見で指輪をよく見えるようにやる、あのポーズだ。
「今日から俺がお前の幸せをサポートする代わりに、俺のプライベートについて一切詮索しないこと!」
「……なんで? 聞きたいじゃん、まずは色々、センセイの状況を教えてよ。参考になるし」
そりゃそうだよね。
何を考えているんだ、あたしは。
「えーと、ありがと、う?」
何と言って返すのがいいのか分からず、とりあえずお礼を言ってみる。
「いいってことよ。俺に任せとけ! えーと、もうすぐ7月だろ、てことは、1、2……うーん、3月までにとなると、とっとと動かなきゃだな……」
指折り数えながらぶつぶつ言っている。そうだね、時間がないことは百も承知。
「ねぇ、松永物産なんて、めちゃくちゃ忙しいよね? あたしの色恋なんて構ってる暇ないでしょ? それこそ、奥さんとかご家族に時間を使った方が……」
「ん」
あたしの言葉を遮るように小さく言って、また酒井君が左手を見せつけるように前にぐっと出してくる。芸能人の結婚報告会見で指輪をよく見えるようにやる、あのポーズだ。
「今日から俺がお前の幸せをサポートする代わりに、俺のプライベートについて一切詮索しないこと!」
「……なんで? 聞きたいじゃん、まずは色々、センセイの状況を教えてよ。参考になるし」