腹黒エリートが甘くてズルいんです
作戦会議
***
「はい、まずはかんぱーい!」
カチンと鳴ったジョッキの音が、夏を伝える。
ごきゅ、ごきゅ、とキンキンに冷えたビールの喉越しを楽しむあたしに、酒井君の冷たい視線。
「仲田ぁ……」
「ん? なによ?」
「うん。やっぱりそこから間違ってるな」
はい?? と思いながら、枝豆に手を伸ばす。何やら言いたげな酒井君は放っておいて、とりあえずあたしはこの夏一発目のビアガーデンを謳歌しようと、枝豆を口に入れた。
「もーーーー……」
何やらお怒りのご様子。
「いる?」とあたしの差し出した枝豆を受け取り、口に含みつつ酒井君がぼやく。
「大体さ、お前には色気っつーもんがないわけ?」
なんだ?
確かに、あの再会から1ヶ月ほど経ったこの間、酒井君からお誘いがあった。
松永物産の本社勤務で、その上既婚者の酒井君が忙しいのは当然で、もしかしたらあの日のまんま、『仲田を35歳までに幸せにしてやる』という約束なんてうやむやになっても当然だと思っていたから、嬉しかった。
「はい、まずはかんぱーい!」
カチンと鳴ったジョッキの音が、夏を伝える。
ごきゅ、ごきゅ、とキンキンに冷えたビールの喉越しを楽しむあたしに、酒井君の冷たい視線。
「仲田ぁ……」
「ん? なによ?」
「うん。やっぱりそこから間違ってるな」
はい?? と思いながら、枝豆に手を伸ばす。何やら言いたげな酒井君は放っておいて、とりあえずあたしはこの夏一発目のビアガーデンを謳歌しようと、枝豆を口に入れた。
「もーーーー……」
何やらお怒りのご様子。
「いる?」とあたしの差し出した枝豆を受け取り、口に含みつつ酒井君がぼやく。
「大体さ、お前には色気っつーもんがないわけ?」
なんだ?
確かに、あの再会から1ヶ月ほど経ったこの間、酒井君からお誘いがあった。
松永物産の本社勤務で、その上既婚者の酒井君が忙しいのは当然で、もしかしたらあの日のまんま、『仲田を35歳までに幸せにしてやる』という約束なんてうやむやになっても当然だと思っていたから、嬉しかった。