腹黒エリートが甘くてズルいんです
けれど皆様大したもので、すぐにお互いの共通項を発見して、まるで旧知の仲のように盛り上がりを見せている。

小学生を持つママからの、おすすめ習い事のレクチャー。
保育園や幼稚園のあり得ないママ友の話。
義実家にまつわるあれやこれや。
そして、一番沸いたのは『あと何人産む？』『もう勘弁！！』的な話。

そう。
あたしは完全に蚊帳の外。あ、勿論メンタル上では、ね。
実際は、にこにこと、さも興味あるように、相槌を打ったり時には質問したり。

独身、彼氏なし、都内で仕事中。そのテーブルの中でも上から数えた方が早い３４歳。
扱いに困るのは百も承知。

だけど、あたしも大人だし、テーブルの皆も大人だったから、あたしだけが何一つかすらない話題の中でも、表面上は穏やかに、緩やかに、共通の友達の結婚を祝いつつ、和やかな時間が過ぎていった。


『まだ結婚していない』理由を何となく答えなくてはいけない雰囲気で、あたしは思わず『仕事が忙しくて』ということにした。


地元の人達にしてみれば、都内で働いているだけで『バリバリの仕事人間』に見えるなら、その誤解はそのままでいいと思った。
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