腹黒エリートが甘くてズルいんです
駅に向かって二人で歩き出す。
金曜の夜ということもあってか、道行く人の酔っ払い率は高めで、何となくみんな仲間のような気持ちになる。


「……お前、そんなんで電車乗れるの? 送ってやろうか?」


自分だって酔っているくせに、そんな気遣いまでしてくれなくていいっての。


「いい。独身で、イケメンで、優しくて、性格よくて……って人になら頼むけど酒井君には、頼まない」


「独身以外の条件、俺余裕でクリアしてんな……じゃなくてお前ねー、そうやって選り好みして変な条件掲げてるからいき遅れるんだぞ」


うわ。なんだなんだそのかなり上空からの上から目線!! ムカつく。


思わずキッと酒井君の顔を見る。

「えー? これでも、青年実業家がいいとか若社長がいいとか先祖代々資産家がいいとかの条件は求めるのやめたんだけど?」


本当はそんな部分、相手に求めたことなんて無いけどね。
もう、いちいち売り言葉に買い言葉みたくなるのは止めたい。


「……あと、いき遅れ、なんて古くさい言葉使うのやめてくれない?あたし、焦ってないし」
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