腹黒エリートが甘くてズルいんです
あたしのオッケーの返事を受けて、安心したように笑い、『んじゃよろしく、俺あと一件済ませるから』と言いながら足早に去っていく先輩。

……営業って、大変そう。でも、やりがいがありそうだなぁ。あたしには全然向かないけど。

事務の仕事が嫌いな訳じゃないけれど、と思いながらまたパソコンに向かう。


そういえば、と午後から出光先輩から頼まれた仕事で外出する許可を求めに上司の席へと向かう。


そして、ちょっとわくわくしている自分に気がついた。


保育園かぁ、久し振り。
子供達、わぁわぁ元気に遊んでいるのかな。かわいいだろうな。
怖がられないといいけど。


思わず頬が緩んでいることに気づく。


行くまでに、なるべく面倒な仕事は済ませてしまおう、とやる気がみなぎってくるようだった。
そんな単純な自分が嫌になってしまうけれど。


上司からの許可はすんなりと下り、ジャージに着替えてこいと言われ、丁重にお断りした。

窓の外の晴れた空が、嬉しい気持ちを増長させるようだった。
< 99 / 227 >

この作品をシェア

pagetop