金魚の見る夢
☆
☆
「へえ、じゃあきっかけはスカウトだったんですね、怖く無かったんですか?」
監督が天ぷらを汁に軽く浸しながら真剣な眼差しを向ける。
照れた。
「まあ、有名な所だし、丁度両親の離婚も重なってクサクサしてたので、半分やけですね。」
そんな事も有ったつけ、なんて思いながら謎のお刺身を口に運ぶ。
んまい。
「成る程、それが高校卒業して直ぐでしたよね。」
「ええ。」
歳月の流れを感じざるを得ない。
AV女優としては格段の長寿組になる。
「所で映画には興味あるのですか?」
鳥居ちゃん、話題転換。
「現代群像の『夢現つ』読んでますよ。」
監督の笑顔に、顔を被いたくなる。
映画のプロに映画のコラム読まれるとは。
「船越君と仲よかったんだね。」
船越君?
「ああ、ほら天国アパートの『平井 尚』役。」
監督の補足にピンと来る。
奈々の事だ。
同時に顔がカッと熱くなった。
天国アパートに付いて書いたコラムを読まれてしまった様子です。
「駄文申し訳ありませんでした。」
「いや、嬉しいですよ、でも船越君は残念でした・・・もう五年?ですか。」
グイとビールの入ったグラスを煽る監督。
鳥居君、すかさずビール瓶を持ち、注ぐ。
「そう、五年です、船越って本名ですか?」
ふとした疑問。
奈々とは仲良かったしプライベートでも、よくつるんだ。
お互いの家にも遊びに行った。
それでも私の中で奈々は星河奈々以外で有った時は無かった。
「そう、船越 杏子、知らなかった?」
「私と居る時は星河奈々でしたから。」
何だか少し淋しい気がした。
「へえ、じゃあきっかけはスカウトだったんですね、怖く無かったんですか?」
監督が天ぷらを汁に軽く浸しながら真剣な眼差しを向ける。
照れた。
「まあ、有名な所だし、丁度両親の離婚も重なってクサクサしてたので、半分やけですね。」
そんな事も有ったつけ、なんて思いながら謎のお刺身を口に運ぶ。
んまい。
「成る程、それが高校卒業して直ぐでしたよね。」
「ええ。」
歳月の流れを感じざるを得ない。
AV女優としては格段の長寿組になる。
「所で映画には興味あるのですか?」
鳥居ちゃん、話題転換。
「現代群像の『夢現つ』読んでますよ。」
監督の笑顔に、顔を被いたくなる。
映画のプロに映画のコラム読まれるとは。
「船越君と仲よかったんだね。」
船越君?
「ああ、ほら天国アパートの『平井 尚』役。」
監督の補足にピンと来る。
奈々の事だ。
同時に顔がカッと熱くなった。
天国アパートに付いて書いたコラムを読まれてしまった様子です。
「駄文申し訳ありませんでした。」
「いや、嬉しいですよ、でも船越君は残念でした・・・もう五年?ですか。」
グイとビールの入ったグラスを煽る監督。
鳥居君、すかさずビール瓶を持ち、注ぐ。
「そう、五年です、船越って本名ですか?」
ふとした疑問。
奈々とは仲良かったしプライベートでも、よくつるんだ。
お互いの家にも遊びに行った。
それでも私の中で奈々は星河奈々以外で有った時は無かった。
「そう、船越 杏子、知らなかった?」
「私と居る時は星河奈々でしたから。」
何だか少し淋しい気がした。