金魚の見る夢


夕暮れのショーウインドウに黒いスーツを着た私が映る。

童顔だったため二十代半ばまで女子校生役をこなしていた私だったが、さすがにもうキツイか・・・なんて思ったり。

疑問は浮上するだろうが、まあ、女性に年齢は聞かないのがマナーと云うヤツだ。

じゃあ、今はどんなのに出ている?と聞かれれたら何だけど、去年の春以来、出演すらていない。

何と無く乗らないのだ。

まあ、ウチは、ヤの字が絡んでいない事務所なので、そう云う我儘が意外と利くのだ。

もちろん、人気はその間下降して行くが、たまに見るタレント気取りにはなりたくない。

批判はしないが肌に合わないしその手の才能は無い。

AV女優たる職業にプライドみたいな物はあるが、羞恥心はまた別物なのだ。

羞恥心の理由は複数有る。

芸人に『お世話になってました』なんて言われて、あっけらかんと愛想を振りまく自信が無い。

後はまあ、色々。
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