金魚の見る夢
☆
☆
「おす。」
ガラスごしに中途半端なブランドのバッグを眺めていた時、声をかけられた。
驚きはしない、知った声だ。
「おう。」
そのまま、ガラスに映った髭面に挨拶。
相澤のイカツイ顔がクシャリと崩れる。
「久しぶりだな。」
一年ぶりに見る彼の顔は日に焼けて、なんだかシワが目立つ様になった気がする。
白いシャツにカーキのワークパンツ姿でクセの有る髪がツンツン跳ねている。
「元気そうだね。」
私の声に、まあね、と頭を掻くから益々髪の毛がクシャクシャになる。
「ロケが多いからすっかり黒くなっちまった。」
なるほど、そりゃ概ね室内の以前とは違うわね。
「今はドラマ?バラエティー?」
「単発のサスペンス。」
ぶっきらぼうに答える声には、自信と喜びが上手に隠れていた。
映画カメラマンが志望の彼としては、希望により近いだろう。
「いつ放送?見るよ。」
「別に俺が出てる訳じゃ無いぞ」
「いいから。」
彼は、ボソリと初夏の日付を告げる。
私は、その日付を頭に記憶した。
「おす。」
ガラスごしに中途半端なブランドのバッグを眺めていた時、声をかけられた。
驚きはしない、知った声だ。
「おう。」
そのまま、ガラスに映った髭面に挨拶。
相澤のイカツイ顔がクシャリと崩れる。
「久しぶりだな。」
一年ぶりに見る彼の顔は日に焼けて、なんだかシワが目立つ様になった気がする。
白いシャツにカーキのワークパンツ姿でクセの有る髪がツンツン跳ねている。
「元気そうだね。」
私の声に、まあね、と頭を掻くから益々髪の毛がクシャクシャになる。
「ロケが多いからすっかり黒くなっちまった。」
なるほど、そりゃ概ね室内の以前とは違うわね。
「今はドラマ?バラエティー?」
「単発のサスペンス。」
ぶっきらぼうに答える声には、自信と喜びが上手に隠れていた。
映画カメラマンが志望の彼としては、希望により近いだろう。
「いつ放送?見るよ。」
「別に俺が出てる訳じゃ無いぞ」
「いいから。」
彼は、ボソリと初夏の日付を告げる。
私は、その日付を頭に記憶した。