潮風の香りに、君を思い出せ。
玄関から中に入るといい匂いがする。木の香りだけど、甘いような感じもする。なんだろう、アロマオイル焚いてるのかな? さすが香の世界の子だと感心する。


「ナナミちゃん、飲み物何がいいかなぁ、コーヒー、紅茶、麦茶とかあるけど」

お母さん、いや香世子さんが聞いてくれた。

「えーと、大地さんはいつもなに飲んでるんですか」

「大地は牛乳とかだから、気にしなくていいから。七海ちゃんの飲みたいので、アイスにもできるし」

「じゃあ麦茶お願いしていいですか? 大地さん、牛乳って似合いますね」

「そう?あの子外だとイケメンキャラやってるみたいよ、意外と。でもさっきの格好じゃねえ、ナナミちゃんにはそういうの効かないかぁ」

香世子さんて話し方が大地さんに似てる。親子だ。

話し方の雰囲気がつかめてきたら、次にまた会っても大地さんのことすぐわかるかもしれないな。

あ、でも、サークルに行かなかったら、次はないんだっけ。



「出たよ」

ベージュのワークパンツ姿になった大地さんがシャワーから出てきた。

うん、やっぱりかっこいい感じの人なのかもと見直す。顔だけじゃないんだよね、イケメンて。姿勢とか態度とか、全体的にかっこいい人っている。

大地さんは、半分ぐらいイケメン風で、あとの半分は面白い感じ。これで顔がかっこいいんだから、割合が多くなってイケメン合格。たぶん。


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