花と光と奏で
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──イギリス コッツウォルズ地方 バイブリー
小さな田舎町。
そこへ着いた頃にはもう日が暮れていて、辺りは静けさに包まれていた。
どうしてここだと思ったのか自分でもわからない。
七聖に聞いていたからとはいえ、彼女がこの場所にいるとは限らないのに……
それでもなぜか俺の心に響くものがあって、俺は何の迷いもなく一歩一歩とその土地を踏みしめ歩み進んだ。
日中はここを訪れるであろうたくさんの観光客も、今は誰一人としてその姿は見られない。
まるでおとぎ話に出てくるような景色だけが、俺の視界に入り込んでいた。
どれぐらい歩いていただろうか、
『…………
俺の耳に、時ならずして聞こえてきた音。
俺の心をとらえて離さなかった甘く切ない声音がまた、俺の心に染み広がった。
……………』
「!!」
自然と早まった足。
その音源となる元へ、気づけばすでに駆け出していた自分がいた。
「……………」
俺は探し求めていた姿をやっと自分の瞳に映し出すことが出来、その後ろ姿を見つめた。
その会いたいと願った彼女が一人ぽつんと周りの景色に溶け入り、甘く切ない音を奏でている。
その彼女の奏でる音に、俺の頬をつたった雫。
痛いほどに切なく響く音が俺の心を突き刺していた。
その姿も儚く消えてしまいそうで、
俺はその存在を求めて彼女との間にあった少しの距離を縮めるために、立ち止まっていた場所から足を踏み出した。
──イギリス コッツウォルズ地方 バイブリー
小さな田舎町。
そこへ着いた頃にはもう日が暮れていて、辺りは静けさに包まれていた。
どうしてここだと思ったのか自分でもわからない。
七聖に聞いていたからとはいえ、彼女がこの場所にいるとは限らないのに……
それでもなぜか俺の心に響くものがあって、俺は何の迷いもなく一歩一歩とその土地を踏みしめ歩み進んだ。
日中はここを訪れるであろうたくさんの観光客も、今は誰一人としてその姿は見られない。
まるでおとぎ話に出てくるような景色だけが、俺の視界に入り込んでいた。
どれぐらい歩いていただろうか、
『…………
俺の耳に、時ならずして聞こえてきた音。
俺の心をとらえて離さなかった甘く切ない声音がまた、俺の心に染み広がった。
……………』
「!!」
自然と早まった足。
その音源となる元へ、気づけばすでに駆け出していた自分がいた。
「……………」
俺は探し求めていた姿をやっと自分の瞳に映し出すことが出来、その後ろ姿を見つめた。
その会いたいと願った彼女が一人ぽつんと周りの景色に溶け入り、甘く切ない音を奏でている。
その彼女の奏でる音に、俺の頬をつたった雫。
痛いほどに切なく響く音が俺の心を突き刺していた。
その姿も儚く消えてしまいそうで、
俺はその存在を求めて彼女との間にあった少しの距離を縮めるために、立ち止まっていた場所から足を踏み出した。