花と光と奏で

擁護〜side碧

まったく、朝から何の騒ぎかと思ったら…
登校するや否や、質問攻めにあって疲れたわ。
“さぁ?”でかわしまくったけど…


昨日の放課後に起こった出来事。
紫音と一先輩の話で持ちきりだった。


人目も気にせず、っていうか気にするとか絶対無さそうだけど…
紫音へ難なく近づいた一先輩。
噂には聞いてたけど、間近で見ると驚くほどの容姿をしていたな。
紫音も大概だけど、そんな見た目の二人が接近していれば、イヤでも注目の的だっての。

チラッと斜め前の席の紫音の後ろ姿を見た私は、相変わらずキレイなその姿勢に見とれてしまう。

可愛い上に性格まで花丸とくれば男子が放っておくはずがないのに…
それでも紫音に近づかないのは、あの凛とした雰囲気に気後れしてるんだろうな。

隙がないのよね。

女子はまだマシだけど、紫音に話しかけられた時の男子達の態度はこっちにまでその緊張が伝わってくる始末だし。
それを紫音はよくない方へ勘違いしてて…
いや…無意識に受け入れてないのか…

でも、その引かれた一線を、まるでそんなものは存在していないかのように軽々と越えてきた一先輩。

話しかけられた時はさすがに紫音も驚いてたみたいだけど、普通に接してくる一先輩に心なしか嬉しそうだった気がする。

…一先輩の目的はわからないけど、用心するに越したことはないよね。
いい意味でも悪い意味でも噂の多い男(ヒト)だし、多少の尾ひれはあるかもしれないけど、火のないところに煙は立たないわけで…

とりあえず、昨日の一先輩が紫音に聞いた意味深な質問と、それに紫音が答えた“今日のこと”が気になるし…

紫音の笑顔を守らなきゃ。
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