花と光と奏で
ブーッ ブーッ


そんなことを思い耽っていれば、スマホのバイブ音が響くのが聞こえてきた。

帰り際にやっと聞き出せた彼女の連絡先。

送り届けた後の帰り道の途中で、さっそく彼女へメールを送っていたことを思い出し、自分のその行動の早さに思わず溜息がもれた。


「がっつきすぎでヤバいわ…」


鞄へ突っ込んでいたままのスマホを取り出し、その画面に表示されていたメールのマークをタップする。

今時何でメール?って思いがちだけど、それは彼女自身があまり携帯の必要性を感じていないということで、電源が切れていることが度々あるらしい。だからいわゆるSNSだと特に相手に失礼だからと苦笑して言っていた。

どちらにせよ微妙なことだと俺は思ったけど、それが彼女なんだろう。

自分の出来る範囲で相手を思いやる彼女が見えて、俺の心は和んでいた。

そしてさっき登録したばかりの彼女の名前が画面へ表示されたことに、俺の心臓が大きく音を立てた。


┌─────────────────┐

 初メール〜返信編?〜〃∇〃まねっこ


 こんばんは☆ミ
 
 今日はありがとうございました(^-^)

 私もすごく楽しかったです♪

 行きたいとこですか?
 んーっっ…

 一先輩とならどこでも楽しそう(^∇^)♪
 …って答えじゃないからダメですか?

 毎日はムリかもですが、
 なるべくご一緒出来たらなと思います。

 仏訳のこと、
 私の気持ちをわかって頂けてたなんて…
 とても嬉しいです。
 最後までやりきれるよう、
 頑張りますね(^-^ゞ

 応援もありがとうございます(^人^)

 ではまた(*・ω・)/


               紫音

└─────────────────┘


「ヤベぇ……」

俺の送った内容の一つ一つに丁寧に応えてくれてるのがわかって嬉しくなる。
またそれが“わざとですか?”ってぐらい俺を勘違いさせて…
しかも書き出しの“まねっこ”って……


"可愛いすぎる。俺を殺す気ですか……"


好きが加速してヤバい。


出会って間もないのに、次々と湧き上がる想いを止めることなんて出来ない。

他の女には感じることがなかったこの想いが、
こんなに切ないものだったなんて…

どうしたって彼女の傍にいたいと願う自分がいた。


┌──────────────┐

 考えとくよ。

 またな(^ ^)v

 おやすみ( ´q`)zzz


            煌暉

└──────────────┘
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