花と光と奏で

遠い君

"マズい。かなりマズい……"


あの日何度か試みた彼女の番号のリダイヤル。

だけどやっぱり彼女につながることはなく、それならばと送ったメールも、翌日になっても返信が返ってくることはなかった。
まだＯＦＦのままのことを気づいていないのかと安易に考えて、先延ばしにした自分を殴ってやりたい。

前々から約束していた終業式の日。そのあと彼女と過ごすはずだったのに…

夏休みの予定を聞くことなく、全く連絡が取れなくなって1週間。


"誤解してる？"


なんて……あの状況を見たヤツなら誰だってそう思うだろうことなのに……

そういう関係に慣れすぎていて、単純なことに翌々日になってから気づいた。

その時は彼女がどう思ったかなんて考えも及ばなくて、その考えに行き着いた俺は、今のこの状態にかなり焦っている。
やっと決心出来たのに……その遅すぎた決心からすり抜けていく彼女に切なさで息をするのも苦しい。

自分で招いたことに“後悔”という言葉が何度も俺を刺してきた。


「ﾊｧ…………マジ殴ってやりたい……」

「代わりに殴ってやろうか？悪い、待たせた」
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