花と光と奏で
**──

“大切な人に贈りたい歌って、お曾祖父さんとお曾祖母さんにだよな?いつか届けんの?”
“はい。直接届けたいと思ってます”
“直接?”
“はい。文面ではなく、“音”で伝えたいので。
………出来上がった時は、一番に聴いてくれますか?”
“俺?”
“ダメですか?”
“ダメじゃないよ。一番に聴かせてもらえるなんて、すげぇ嬉しい”
“よかった。感想も聞かせて下さいね”
“ああ。楽しみにしてるな”
“終業式には形になってると思うので、その日は絶対に空けておいて下さいね”

──**


そう言って、笑っていた彼女。

もしかしたらその事も話してくれるつもりだったんじゃ………


"マジかよ………それも見過ごしたとか……"


やりきれなさにグッと胸が締め付けられる。
今すぐ彼女に会いたい。という強烈な衝動に襲われた。

でもそう願う彼女は今日本にはいない。
しかもそんな長期の渡英って……………
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