花と光と奏で
一点を見つめたまま、話された内容に泣きそうになった。

そのままゆっくりと瞼を閉じた七聖は、きっと、彼女のことを考えてるんだろう。

彼女へ感じた違和感の理由。

傍にいるのにその存在がすごく遠く感じて、儚いもののように思えた時があった。

そんな彼女を、七聖はどんな想いで見守っていたのかと考えると、胸が張り裂けそうに痛い。


「だから……紫音が煌暉を必要としてたなら……今回の誤解はまずい。
お前という光を失うくらいなら、もう一度元に戻ろうとすると思う。
そうなったら……きっと、もう二度と届かない。

紫音にとっては始まりがどうであれ、過去も現在(イマ)も未来も、それら全てが真実になるんだ。

言い方は悪いけど……逃げるよ…彼女は……
失うことの恐さを知ってるからな………

その時は、今とは比べものにならない“一線”を何重にも引いて………」

彼女のことをずっと見てきた七聖が、たたみかけるように言い切り、その唇を噛み締めた。


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