猫の湯~きみと離れていなければ~
石の猫なら怖くはないけど、でも石をどうやってご機嫌にさせるのか全く検討もつかないし、学校の七不思議の1つみたいなものなのかもしれない。
「今は何もお願いが思いつかないからやめとく。陽向は? 」
「俺はずっと前にしてるんだ」
「…陽向が願掛け? 」
子供のときの『かみさま、今日のごはんはハンバーグにしてください! どーかお願いします』と神社で神頼みをしていた陽向を思い出して思わず吹き出した。
「なんだよー。俺だってたまには真面目なんだぞー」
「ごめんごめん。それで何をお願いしたの? 」
「ひみつー」
にっと笑う陽向の顔は、成就しているのか、もしくは近いことを意味しているような気がした。