猫の湯~きみと離れていなければ~
「ギャアー! ギャアー! ギャアー! 」
「ウナァーオーッ! シャーーーッ! 」
突然の不気味なわめき声に驚いてわたしは目を開けた。
目を開けたのに目の前は真っ暗。
違う、真っ黒いカラスの群がわたしの周囲を取り囲んでいる。
そしてカラスとわたしの間には、全身の毛を逆立てて威嚇をする副会長がいた。
寝起き直後すぎてなにが起きているの状況がつかめない。
ここで眠っていた理由も考えられない。
でも副会長に助けが必要なのは分かる。
わたしは静かに箒に手を伸ばし立ち上がった。
特にギャアギャアと鳴いているのは、えり巻きのように首もとが白い手前の3羽だけで、その3羽はヒョイヒョイと挑発するように小刻みに跳ねながら間を詰めてきたり、カチカチとくちばしを鳴らして威嚇してくる。
この3羽がこの群れのリーダー格っぽくて、なんだかガラが悪くて不気味に感じる。
そして放課後を告げるチャイムが鳴ると同時に、火蓋が切って落とされた。