猫の湯~きみと離れていなければ~
「ギャウッ! ギャウーーッ! 」
副会長は怒声をあげながら凄い勢いでカラスを凪ぎ払い押さえ込んでいく。
わたしも箒を振り回しながら群がってくるカラスをバンバンと叩いていくが、数が多くて全く勢いがおさまらない。
「鈴、目に気をつけろ、えぐられるぞっ! シャーーーッ! 」
誰かが助けにきてくれた?
でも次から次へと襲いかかってくるカラスたちに、わたしは辺りを確認する余裕はなかった。
それよりも、このままだと副会長が大ケガを、いやそれどころか死んでしまうんじゃないかと怖くなってくる。
―― ……あの日みたいに
「副会長、早く逃げて! 逃げなさいっ! 痛いってばっもうっ!」
どれくらい戦っていたんだろう。
時間にすれば5分もないのかもしれない。
カラスたちも疲れたのか一旦距離をおいて、お互いがにらみ合いながら呼吸を整えていたときだった。