猫の湯~きみと離れていなければ~
「…38度。今日は学校をお休みするって連絡してくるわね」
険しい顔をしたママは体温計を枕元におくと、うなずくわたしの頭をやさしくなでた。
カラスにつけられた傷が原因でわたしは昨夜から熱をだしていた。
体はしんどいし傷が痛い。
そして悲しくて心が痛い。
「鈴が酷いことをしたなんて誰も信じてないわ」
ママはわたしの気持ちを感じたのか安心させるように微笑んでくれた。
でも、
「なんで知ってるの? 」
「陽向が学校で何があったか調べてくれたのよ。まったく…、黙っていたら何も解決しないでしょう? 」
ママはあきらめたようにため息を出した。
わたし、陽向にあんなに酷いことを言ってしまったのに、どうして?
陽向の優しさが、わたしをますます悲しく惨めにさせていく。