猫の湯~きみと離れていなければ~
「ママ、もうひとつお願いがあるの」
「なーに? 」
「学校に行ったらね、あの黒猫が元気かどうか見てきて? 」
副会長も少しだけどケガをしていたから、もしかすると、わたしみたいに熱を出しているかもしれないと気になっていた。
「具合が悪そうだったら動物病院に連れて行ってあげて? 」
「もちろんそのつもりよ」
「ありがとう」
頭をずっと撫でてくれるママの手は心地よくて安心する。
今なら涙のわけを少しだけ話せそう。
ううん、少しだけ聞いて欲しい。
「ママ、わたしね、…陽向に酷いことを言ったの」
「そう。じゃあ元気になったらちゃんと謝りなさい」
全然心配していなさそうなママ。
「でも、許してもらえないかもしれない」
「そしたらママが陽向をぶっ飛ばしてあげるわ」
頼もしい味方をつけたわたしは、うんとうなずくとそのまま眠ってしまった。