猫の湯~きみと離れていなければ~

おでこへのひんやりとした感触にわたしは目を覚ました。

気分はスッキリとしているし、体も軽い。


「起こしちゃったわね。…具合はどう? 」


ママはわたしのおでこに新しい解熱用のシートを貼りかえると、体温計を渡してきた。

多分熱を計らなくても平熱だと思うけど、ママを安心させたいから、とりあえず体温計を脇にはさんでみた。


「すごく楽になったよ。…今何時? 」

「もう夜中の2時よ」


お薬の作用で思っていたよりもかなり寝ていたみたい。


「…パパは? 」


何度かうつらうつらと目覚めていたのときに、パパの声が聞こえていた気がする。


「夕方には帰ったわよ。明日のお仕事はどうしても抜けられないんですって」


そっか、会いたかったな…

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