猫の湯~きみと離れていなければ~

でも今は陽向の側には莉子がいる。


莉子から手紙をもらったとき、わたしも打ち明けていれば何かが変わったの?


……そんなわけない。


それに今さら気持ちを伝えたところで、陽向と莉子を困らせるのは分かっている。


わたしのこの気持ちは人を傷つけるだけのもの。
ううん、わたしだって傷ついてしまう。


だからこの気持ちは決して認めてはいけない。
口に出しても、心の中で思ってもいけない。


それなのに、気持ちを押し込めようとすればするほど、涙が止まらなくなってくる。


こんな気持ちなんかいらない。
早く消えてしまえばいいのに。

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