猫の湯~きみと離れていなければ~
「…あっ」
わたしは焦って立ち上がると、涙をぬぐいながら引きだしの中に入っている缶を取り出した。
中には大切にしているとんぼ玉のペンダントが、
…ない。
昨日、病院から帰ってきてからはずした覚えがない。
入っていないのは分かっているけれど、カバンやポーチ、そしてクローゼットを探してもやっぱりどこにも見当たらない。
……どうしよう
どこかに落とした?
もしかしてカラスと戦ったとき?
わたしはもう1度、期待を込めて缶を開てみたけれどやっぱりペダントは入ってはいない。
全身の力が抜けそうなほどの喪失感を感じながら、震える手で中に入っているメッセージカードを手に取った。