猫の湯~きみと離れていなければ~
わたしはベットに腰かけると寝ている自分の姿を見た。
初めて見る自分の寝顔はなんとなく変な顔って思えるし、そしてカラスにつけられた頬の傷はまだ痛々しい。
副会長の姿さえも見えていなさそうなママは、わたしが置きっぱなしにしているアルバムをひろげて懐かしそうに微笑んでいる。
試しにママの目の前で手を振ってみたけど、やっぱり気づいてはもらえなかった。
もしかして夢じゃないのかも?
となんとなく思えはじめてきた。
「それで話ってなに? 」
ベットにどっすんと飛び乗ってきた副会長は、わたしの側に座ると、耳を下げたまま申し訳なさそうに見上げてきた。
少しだけベットが副会長よりに沈んだ気がする。
「昨日はすまなかった。お前にケガをさせてしまったのは俺の落ち度だ」
「べつに副会長のせいじゃないんだから謝らなくていいのに」
座り心地が悪くなった気がして、わたしはもう一度座りなおした。
「いや、あの数で来られるとさすがの俺でも1匹で戦うのは厳しかったしな。お前がいてくれたおかげで助かった。感謝する」
「ううん、どういたしまして」
わたしは目を細める副会長の頭を優しくなでた。