猫の湯~きみと離れていなければ~
学校に着くと、校門の前にはたくさんのプレートとのぼりが立ちならび、部活の勧誘活動をしている多くの2~3年生で賑わっていた。
ユニホーム姿で新入生を囲む野球部、演奏している吹奏楽部、チラシを配るバスケ部、他には着物姿でお茶会を開いている茶道部などなど
胴着姿の柔道部に捕まってしまった男子新入生は、悲壮感ただよう表情で胴上げをされている。
こうなればもう逃れることはできないと思われて…
せめてこれからの3年間、彼が部活を楽しめるように心から祈るばかりだった。
「みんな楽しそうね。鈴は何に入るか決めてあるの? 」
「帰宅部よ。だから声をかけられても絶対に立ち止まらないでね? 」
「えー? 少しは青春しなさいよぉ」
声をかけられる前に、賑わっている部員に自分から声をかけてしまいそうなのがママだ。