猫の湯~きみと離れていなければ~
「こんなにたくさん猫がいるなら、陽向も連れてきてあげたかったなぁ」
猫好きの陽向をここに連れてきてあげたら、きっと大よろこびしたと思うのに。
せめて写真だけでも見せてあげたい。
「写真なら撮っても大丈夫だぞ。ポケットに入れておいた」
「へ?」
わたしの心の声が聞こえたりしてないよね?
副会長が言うとおり、上着のポケットにはわたしのスマホが本当に入っていた。
充電も電波もフルの状態だ。
「本当に撮ってもいいの?」
「人間に見せたところで信じる者なんていないだろう。真実も度を超えれば嘘になる」
……確かに。
それならと、入浴客がいないのを確かめ、宮に撮影の許可を貰った。
副会長と宮、ヤギ乳の並ぶ冷蔵庫と、脱衣場全体の光景と大小の並んだらカゴ。
そして入浴規則の貼り紙を写真におさめてみた。