猫の湯~きみと離れていなければ~

「こんなにたくさん猫がいるなら、陽向も連れてきてあげたかったなぁ」


猫好きの陽向をここに連れてきてあげたら、きっと大よろこびしたと思うのに。
せめて写真だけでも見せてあげたい。


「写真なら撮っても大丈夫だぞ。ポケットに入れておいた」

「へ?」


わたしの心の声が聞こえたりしてないよね?

副会長が言うとおり、上着のポケットにはわたしのスマホが本当に入っていた。
充電も電波もフルの状態だ。


「本当に撮ってもいいの?」

「人間に見せたところで信じる者なんていないだろう。真実も度を超えれば嘘になる」


……確かに。


それならと、入浴客がいないのを確かめ、宮に撮影の許可を貰った。

副会長と宮、ヤギ乳の並ぶ冷蔵庫と、脱衣場全体の光景と大小の並んだらカゴ。
そして入浴規則の貼り紙を写真におさめてみた。
< 156 / 328 >

この作品をシェア

pagetop