猫の湯~きみと離れていなければ~
「その前に、とあるお方がお前の傷を治すことを切望しておられる」
「誰なの? わたし早く帰らないとママが心配しちゃうから」
これ以上、ママに心配と迷惑をかけてしまうのは本当にいや。
「それなら問題はない。ここと向こうの時間の流れは全く違う。お前のスマホの時間は何時になっている?」
「何時って…」
わたしがスマホを開くと、倫は興味津々に一緒に覗きこんできた。
そしてわたしはここの時計を探して銭湯内をキョロキョロとした。
番台の上にかかっている壁掛け時計は4時すぎ。
夕方の16時すぎを示している。
なのにスマホは02時32分……
『にゃーにゃーにゃーだね』
ママと笑いあってからまだ10分?!
この世界に来てから1時間ぐらいはたっていると思っていたのに。