猫の湯~きみと離れていなければ~
毛布から顔を出すと巫女の格好をしている2匹の子猫が興味津々にわたしを見ていた。
顔も体の大きさも瓜二つで双子みたい。
でも毛の色だけは違い、1匹は茶トラというよりは金色に近く、もう1匹はサバシロというよりは白銀色に近かった。
「あかちゃんがおきたよー」
「あかちゃんじゃないよ、すずだよー」
目があっても2匹はわたしを怖がる様子はない。
「こんばんは。あなたたちはだぁれ?」
「金なのー」
「銀なのー」
見たまんまの名前。
2匹は自己紹介を終えるときゃっきゃっと楽しそうに走り回りはじめた。
わたしは体を起こすと金と銀をながめた。
さっきから騒いでいたのはこの子猫たちね。
こんな真夜中に眠くないのかな?
わたしの名前を知っているから、猫の湯の子猫なのかな?
どっちにしても誰かを呼んだ方がいいのかもしれない。