猫の湯~きみと離れていなければ~
そう考えていると、2匹はわたしの足から伸びている銀色の糸に気づいたらしく、じゃれあいはじめた。
「だめだめ、それは触ったらだめだよ」
足を避ければ避けるほどに、糸は2匹の好奇心をくすぐる動きをするようで、ぴょんぴょんと飛びかかってくる。
切れないって副会長は言っていたけど、やっぱり恐ろしい。
「ちょっと待って、本当にだめだってば」
何度か2匹を押さえ込もうと試したけど、力加減が分からずにするりぬらりと逃げられてしまう。
それを2匹はきゃっきゃっと楽しんでいるようだし。
子猫ってこんなに体力あるものなの?
なのに急にピタリと遊ぶのをやめた。
「ねー、これたべたいー 」
「おなかすいたのー」
2匹は座卓に置かれているお皿に鼻をピッタリとくっつけている。
「それはなに? 」
ここに運ばれてきたときには気づかなかったけれど、座卓に置いてあるお皿の中には、ラップされたおにぎりが2つと、その横に急須と置き手紙があった。
『お腹がすいたら召し上がってください。ボクの自慢の鯛めしです。 倫 』
わたしのために用意してくれてたんだね。
倫くんありがとう。
いろんな意味で助かりました。
それにしてもラップされているのに、よく匂いがわかったなと感心してしまう。