猫の湯~きみと離れていなければ~

「じゃあ座って食べようね」


金と銀はうんとうなずくと、1つの座椅子にちょこんと並んで足をのばした。

小さいのにとても礼儀正しいことに感動しながら、わたしはおにぎりのラップをとって1つずつ手にわたした。


「いいにおいー」
「いただきますー」


はむはむと美味しそうにたべる2匹。
時々目を合わせてうなずきあう姿がとても可愛いらしい。

あっという間に食べ終わると、満足したのか毛布の上にごろんとお腹を出して寝転んだ。


「いいこ、いいこしてー」
「すずこっちきてー」

「はいはい」


わたしが側に座ると金と銀は甘えるようにピタッと体をよせてきた。
思わず胸がきゅんとなる。
これが母性本能ってものなのかもしれない。


それにしても、この小さなお腹に大きなおにぎりがよく入ったなと感心してしまう。
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