猫の湯~きみと離れていなければ~
「鈴さん起きてるにゃ?」
倫の声で目が覚めた。
どうやら金と銀をなでながらわたしも眠っていたみたい。
毛布にはもう2匹いない。
遊びに行ってしまったのかな。
壁掛け時計の針は7時を少し過ぎたところをさしている。
スマホはまだ明け方の5時だった。
本当に時間の流れが全然違うんだ。
障子の向こうでは倫が座って返事をまっている。
「倫くんおはよう」
「お布団片すから入ってもいいにゃ? 」
「うん、お願いします」
倫が障子を全開にすると、涼しい風が部屋に舞い込んできた。
「今日もいい天気にゃ」
そういって倫は冷たい手ぬぐいを差し出してくれた。
「ありがとう、気持ちがいい」
泣きはらしてまだ少しむくんでいる顔をふくとスッキリとした。
それだけじゃない。
心まで軽くなっているような気がする。