猫の湯~きみと離れていなければ~
「これは何にゃ?」
倫が手にとったのは金と銀の首輪についていたアーモンド型のチャームだった。
「それ金と銀のだ。忘れていったみたいね」
「…にゃ? 今なんて言ったにゃ?」
倫の動きがピタッと止まった。
「金と銀はここの子猫たちなの? 夜中に遊びに来てて一緒に寝てたんだけど、どこに行っちゃったんだろ? 」
「…お、お、女将さーーーんっ!」
一瞬で倫のしっぽが膨れ上がったかと思うと、ものすごいいきおいで部屋を飛び出し庭を突っ走っていった。
「倫くん、どうしたの? 」
でも倫にわたしの声は届いていないようで。
少しして
「ニャギャーーーッ! 」
倫の悲鳴が聞こえたかと思うと、騒がしくトンテンカンテンと鳴っていた改装音がピタリとやんだ。