猫の湯~きみと離れていなければ~

「鈴さんは猫嫌いにゃん?」
「そんなわけないにゃ」


宮と倫は驚いたように顔をあげる。


「大嫌いだったんだけど、でも本当は大好きだよ。それに、猫町に来る前には思い出していたから」

「カラスと戦ったときだな 」



ああ、やっぱり副会長は知っているんだね。

わたしはうんとうなずいた。


「自分の心をまもるために嫌いだと思わせていただけだろう。お前はくだらんことをしてきたな 」


「…うん、そうだね」


倫と宮は興味津々にわたしを見ている。


「聞いたらあなたたちがわたしを大嫌いになるかもしれないよ? 」

「そんなことはないにゃん」
「聞きたいにゃ」


2匹は話を聞く気まんまんでわたしの側にちょこんと座った。


パパとママにも話せなかったことなのに。

ここの猫たちになら話せそうな気がする。

< 186 / 328 >

この作品をシェア

pagetop