猫の湯~きみと離れていなければ~
「鈴さんは猫嫌いにゃん?」
「そんなわけないにゃ」
宮と倫は驚いたように顔をあげる。
「大嫌いだったんだけど、でも本当は大好きだよ。それに、猫町に来る前には思い出していたから」
「カラスと戦ったときだな 」
ああ、やっぱり副会長は知っているんだね。
わたしはうんとうなずいた。
「自分の心をまもるために嫌いだと思わせていただけだろう。お前はくだらんことをしてきたな 」
「…うん、そうだね」
倫と宮は興味津々にわたしを見ている。
「聞いたらあなたたちがわたしを大嫌いになるかもしれないよ? 」
「そんなことはないにゃん」
「聞きたいにゃ」
2匹は話を聞く気まんまんでわたしの側にちょこんと座った。
パパとママにも話せなかったことなのに。
ここの猫たちになら話せそうな気がする。