猫の湯~きみと離れていなければ~

クラス表は全部で5枚。

5クラスに分けられていたので、わたしは人の流れに乗りながらAクラスから順に名前を探していく。



―― 逢坂 陽向(おうさか ひなた)




その名前が目に入った途端、周囲から音が消えた。


胸の鼓動が体を揺らして、意識をしないと呼吸ができない。


本当に、本当に陽向もこの学校にしたんだ。


ママからの話と、直接名前を見るのは実感が全然違う。

わたしは何度も何度も名前を読み直した。



どうしよう。



どんな顔をしていいか、どんな話をすればいいのか本当に分からない。



…会いたくない



逃げ出したい気持ちを抑えるように、気持ちを落ち着かせるように、わたしは制服の上からペンダントをぎゅっと握りしめた。
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