猫の湯~きみと離れていなければ~
そんなことは関係なしに、子猫はどんどん元気になっていって、学校が終わる時間には鳥居の下でわたしたちを待ってくれているほどなついてくれていた。
カラスが来るから出たらダメって何度も怒ってお姉さん気分を味わったの。
名前は陽向と意見が合わなくて、結局は決まらなくて猫ちゃんって呼んでいた。
そして忘れもしない引っ越しの前日。
「俺が絶対に面倒みるから」
そう陽向が約束してくれて、泣きながら猫ちゃんとお別れをしていたときだった。
近所の怒りんぼうで有名なおじさんがわたしたちのところにやってきて、すごく恐い顔をして大声で怒鳴ってきたの。
「ノラ猫にエサをやるなっ、うちの庭で糞をするから迷惑だっ」
ってね。
怖くて震えたよ。
猫ちゃんとわたしをかばうようにおじさんの前に立ってくれた陽向の足もすごく震えていた。