猫の湯~きみと離れていなければ~
このときは、大人はなんでノラ猫ってだけでこんなに怒ったり、診察もしてくれないんだろうって思った。
かわいい子猫には何の罪もないのに。
でも今思えば、わたしたちの方が無責任だったんだよね。
トイレの掃除やノラ猫を増やさないことの大切さを分かっていなかったから。
飼う能力も責任もないのに、かわいい、かわいそうって気持ちだけで育てていた。
でも、あのままカラスに殺されてしまうのはやっぱり見過ごせなかった。
結局、「2度とここに来るなっ」て猫ちゃんを取り上げられて神社から追い出されたの。
子供のわたしたちにはどうすることもできなくて、陽向もとうとう泣き出しちゃって。
そのあと、陽向と一緒にママに無理は承知で打ち明けたの。
猫を飼っていたこと、そして飼いたいってことを。
ママはすぐに受け入れてくれて、引っ越しの前に迎えに行こうって言ってくれたの。
なのに引っ越しの朝、ママと行ったら猫ちゃんはどこにもいなかった。