猫の湯~きみと離れていなければ~
ドンッと無音の世界を突然に破る衝撃に、わたしはよろけてこけそうになった。
「っ! きゃっ」
「ちょっとあんた邪魔っ! 早くどいてよっ! 」
「…ご、ごめんなさ、」
驚きが消えないまま体勢を立て直すと、わたしがいたはずの場所にはすでに2人の女子生徒が立っていた。
周りの生徒たちの何人かも押し退けられたらしく、迷惑そうな顔はしているが何も言わないようにしているのが分かる。
その女子生徒2人はどちらも明るめの茶色の髪と、ばっちり決まったメイク、そして胸元のボタンは開けられ、規定よりもかなり丈の短いスカートを履いている。
そして辺りには、鼻の奥に引っ掛かるような安いコロンの香り漂わせていた。
見た目で判断するは良くないと分かってはいるし、入学式にその格好で来るのはある意味凄いとは思うけれど、わたしにとっては苦手なタイプの人たち。