猫の湯~きみと離れていなければ~

昨日と違って、町の中は提灯や五平が至るところに飾られいた。

屋台も並びはじめていて、大通りの中央には金と紅の幕で飾られた矢倉が建てられていて、その上には大きな太鼓が設置されていた。


着々とお祭りの準備がすすめられていてワクワクしてくる。


昨日はほとんど猫たちしかいなかったけれど、今日は観光目的のあの世の人たちがたくさんいて写真を撮ったりビデオ撮影していた。


わたしももちろん何枚か写真を撮ってみた。


一番のお気に入りの写真は、倫と宮が並んで歩く後ろ姿。


あとから見せてあげないと。


「どけどけどけにゃーっ! 」


突然、後ろからガラガラと大きな音と罵声が聞こえてきた。


「龍宮城様のお通りにゃー」
「道を開けろにゃー」
「ケガしたいやつは前にでろにゃー」


振り返ると砂煙をたちあげながら黒猫3匹が荷車を引っ張って、ものすごい速さでわたしの目の前を通りすぎていった。


…うそでしょ。

これって黒猫が目の前を横切ったことになるんだよね。
しかも3匹っ
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