猫の湯~きみと離れていなければ~
「あいかわらず乱暴な猫たちにゃん。倫、大丈夫にゃん? 」
「けふっ、けふっ」
砂まみれになって咳き込む倫を、宮はたんこぶに注意しながらきれいにはたいてあげている。
わたしはそんな宮の砂ぼこりはたきながらたずねた。
「あれってスーパー銭湯、龍宮城の猫たちだよね? 」
「そうにゃん。あの猫たちも招き猫さまに焼き魚の奉納に違いないにゃん」
今といい客寄せといい、何をするにも強引なやり方にわたしでもあまりいい気はしてこない。
遇があんなに怒っているのも分かる気がしてきた。
門の近くまで来ると、辺りは焼き魚のいい匂いに包まれていた。
毎年、このお祭りのときに、町の入り口をまもっている招き猫像に焼き魚を奉納するのが習わしらしいのだけど、最近では長持ちする猫缶やカリカリフードの奉納も増えてきているそうだ。
昨日はそれほど意識してみていなかったけれど、見上げるほど大きな金と銀の招き猫。
首からは猫玉らしきレプリカもぶら下がっている。