猫の湯~きみと離れていなければ~
でも彼女たちから見れば、きっと、いや間違いなくわたしは個性のないその他大勢の中の1人だろうし。
勇気を出してつけた色付きのリップクリームなんて、素っぴんと変わりないのかもしれない。
2人は周りを気にせずに手を叩きながら大きな声ではしゃぎ始めた。
「やった、同じクラスだし! 」
「まじで? 超ヤバいじゃん 」
どうか彼女たちとは同じクラスになりませんように
心の中で手を合わせて願っている間に、わたしはどんどん人の流れに流されて、そしてとうとう押し出されてしまった。
ちょっと待って、わたしが何組かまだ見てない
…というか自分の名前探していたっけ?
そう思った途端、陽向の名前だけを探していたことに気がついて、みるみる顔が熱くなっていく。
嘘でしょ? 信じられないっ
わたしったら、一体何をやっているのよ。