猫の湯~きみと離れていなければ~

「あ、ごめん。ちょっと待ってて」


猫町へと戻っていく宮と倫を呼び止めると、わたしは招き猫像に引き返した。

この大きな像の中にあの小さな金と銀が宿っているなんて、あまり実感はないけれど。


でも、どちらの像にもそっと触れて『いい子いい子』となでてみた。


「金、銀。あの猫玉はちゃんと渡しておくからね」


そう伝えると急いで宮と倫の元に戻った。
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