猫の湯~きみと離れていなければ~
宮と倫が待っている場所にもどると、倫が宮の頭飾りのたんぽぽをつけなおしているところだった。
「もういいにゃん? 急がなくても大丈夫にゃん」
わたしに気づいた宮は少し恥ずかしそうにしている。
それがまたなんとも可愛いくて仕方がない。
お邪魔しちゃったかなと思いながらも、わたしは2匹に近づいた。
「うん、大丈夫。お待たせしました」
そしてわたしの前を肩を寄せあうように仲良く歩く2匹。
その微笑ましい姿に自然とわたしが笑顔になってしまう。
そういえば宮と倫はしっぽの先が2つになっていないよね?
周りをみてもごくまれに2つに別れている猫がいるぐらい。
「ねぇねぇ、聞いてもいい? 」
「どうしたにゃ? 」
「しっぽの先が2つになっている猫って珍しいの? 」
宮と倫は顔を合わせると驚いたようにわたしを見た。
もしかして聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない。
どうしようと試行錯誤するわたしを見ながら、2匹は、というか倫が自慢気に説明をはじめた。