猫の湯~きみと離れていなければ~


―― ゴンッ


「きゃっ、いったぁ」


角を曲がったとたん、何かとぶつかった。

涙目になってしまうほどの痛さで頭が少しクラクラとして、しゃがみこんでしまった。


―― ガッシャンッ


そして背後で何かが閉まる音がした。


「捕まえたにゃー」
「兄貴に報告にゃー」
「早く荷車に乗せるんだにゃー 」


目の前には鉄の柵。

振り返るとそこにも鉄の柵。


これって、もしかしてわたしが檻の中に入ってる感じ?


柵の外では黒猫3匹が大喜びしながら柵ごとわたしを荷車に乗せはじめた。

この黒猫たち、龍宮城の連中に間違いない。


「ちょっと、あんたたち出してよっ! わたし急いでいるの」


辺りを見回しても、もう子猫の姿はどこにもない。

黒猫3匹はわたしを捕まえたことに興奮しているのか全く答えない。

今度はこんな強引な客引きをはじめたわけ?
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