猫の湯~きみと離れていなければ~
「鈴さんをどうするつもりにゃ、離せにゃっ! 」
「倫くん、助けを呼んできてっ! 」
追いかけてきた倫を食い止めようする黒猫3匹だったけど、倫は風のようにその間を縫って檻の中に滑りこんできた。
「鈴さんケガはないにゃ? もう大丈夫にゃ」
倫の勇ましさに感動して、わたしは思わず倫を抱き締めた。
「倫くんすごい! じゃあ早く逃げよう 」
「…にゃ? どうやってにゃ? 」
「…え? 」
そんな会話をしている間に荷車はものすごい速さでわたしたちを運びはじめた。